ウェザリング(汚し塗装)の基本:リアルな戦場感を演出する理由
エアガンのウェザリングとは、新品のピカピカな状態ではなく、長期間の戦闘や訓練を経たような使用感や汚れを意図的に塗装で再現する技法を指す。
特殊部隊装備の再現をする時、BDUやベストが使い込まれているのに、銃だけが新品だと、どうしてもリアリティに欠けてしまう。
ウェザリングは、銃に「戦歴」というストーリーを刻み込み、装備全体のリアリティを劇的に向上させる効果的な方法だ。
この技法の基本は、「実際に擦れる部分、汚れる部分」を意識して作業することにある。
例えば、マガジンを抜き差しするマグウェル周辺、手で握るグリップ、ストックやバレルの先端などが、重点的に塗装を剥がしたり、泥汚れを再現したりする箇所だ。
ほぼ自己満足に近いところだが、このリアルな使用感を追求しているホビイストも多いのでは。
リアルな戦場感を出すための具体的な塗装手順
ウェザリング塗装は、いくつかの簡単なステップを踏むことで、初心者でもリアルな質感を出すことができる。主な手順は以下の通りだ。
まず、下地作りだ。
塗装したい部分のホコリや油分をクリーナーでしっかりと除去する。これは塗料の食いつきを良くするために欠かせない工程だ。
次に、ベースカラー(もし迷彩塗装などをしているならその上から)の上層色に、砂埃や泥汚れを再現するための塗料を塗る。
ここで俺がよく使うテクニックは、ドライブラシだ。
筆に塗料を少量だけ取り、ティッシュなどでほとんど拭き取ってから、エッジや角といった実際に擦れやすい部分をサッと擦るように塗っていく。
そうすると、金属の地の色や、下層の塗装色が露出したような「剥げ」た状態を再現できる。
このドライブラシを丁寧に施すことが、リアルな使用感を生み出すコツだ。
ディテールへのこだわり!リアル感を増すためのコツと仕上げ
ウェザリングのリアリティは、ディテールの再現度で決まる。単に茶色く汚すだけではダメだ。
より説得力のある「戦場感」を出すためのコツをここで紹介していく。
泥・砂埃の再現
埃が溜まりやすいネジの窪みや、溝の部分には、パステル(画材)を削って粉末状にしたものを、溶剤で溶かさずに、筆でのせていく。すると、乾燥した土や砂が溜まったような質感を生みだせる。
油汚れ・煤の再現
動作部分(エジェクションポート周辺やボルト周辺)には、つや消し黒やダークブラウンを極めて薄く塗り、綿棒などで擦り広げることで、オイル汚れや作動時の煤を再現していく。
この「汚し」は、やりすぎると不自然になるため、控えめに、立体感が出るように施すのが重要だ。
最後に、水性のつや消しクリアを薄く数回ミストで吹いて定着・表面保護を行おう。
強溶剤系は素材を傷めることがあるため、可動部・HOP周り・刻印・光学レンズは必ずマスキング。
クリアは質感や色味がわずかに変わる場合があるので、目立たない箇所でテストしてから本吹きしよう。
この一手間を加えることで、エアガンは単なるオモチャではなく、「戦場で使い込まれた本物の道具」へと昇華する。手間をかけたぶんだけ愛着が増すから、ぜひ挑戦してみてほしい。